今回は、前回お話しした通り、ブロック名の重なりについて実例を出して説明していきたいと思います。
割と情けない話ではありますが、何かしら教訓になるものがあれば嬉しいです。
■私の場合…
昔の話ですが、私が自分で作図して正式に印刷した図面で、全く関係のない場所にたくさん「小便器」が作図されていたことがあります。
これは私の中で結構情けない体験ではありますが、ブロックの特性を良く表していますので、あえてここでお話ししたいと思います。
建築平面図で使用する小便器というのは複雑な形状ですし、メーカーのウェブサイトからダウンロードすることが出来る為、基本的に編集することのない図形ということになります。
また、建物の規模にもよりますが、結構配置する数の多いものでしたから、当然のようにブロックとして登録をしていました。
上図にような感じになりますが、ここでは小便器の頭文字をとって「S」という安易なネーミングをしていました。
安易ではありますが、入力は非常にスムーズなんです。
一方、別の図面では断面図を作図していて、下図のようにシーリングする部分に三角形のマークを入れていました。
こうしたシンボル的な図形もブロックにしておくと便利ですので、シーリングの頭文字をとって同じく「S」にしていました。
これまた安易なネーミングではありますが、安易であればあるほど入力も簡単になるので、別に問題はないはずです。
と、ここまでは全然問題ありません。
ただ、小便器を「S」としてブロック登録していた平面図に、シーリングを「S」として登録していた断面図の図形をコピーしてきた時に、悲劇は起こります。
先程もお話ししましたが、同じブロック名「S」ですから、シーリング記号として使っていたブロックの形状が小便器になってしまうんです。
「いいですか?」などの確認も何もなく、強制的に書き換えられてしまうんです。
…文章で説明するよりも、下の図面を見て頂ければと思います。まさに「一目瞭然」ではないでしょうか。
このようにして私は、オートキャド(AutoCAD)のプロとして、なかなか恥ずかしい図面を印刷してしまった訳です。
こうしたことだけで、今まで作ってきた信用が失われる訳ではありませんが、やはりプロとしてやってはいけない失敗だと思います。
だって、印刷した図面をサラッとでも見てさえいれば、そうした問題は起こらないのですから。
今このサイトを読んでいる方は、私みたいな失敗をしないように、こうしたブロックの特徴を知っておいて頂ければと思います。