前回お話しを始めてから、かなりの時間が空いてしまいました。

その間はもちろん何もしていない訳ではなくて、オートキャド(AutoCAD)のコマンドについて色々と解説をしていました。

解説しているコマンドの数も結構増えてきて、読んで頂いている方の為に少しは役に立てるくらいにはなったのではないかと思います。

でも、今回は少し休憩して、私がオートキャド(AutoCAD)を使って仕事をしている時に経験したことについてお話しをしたいと思います。

■徹夜という悪夢
前回は「U」というコマンドを解説している際に、ふと思い出したことを書いていった訳ですが、読み返してみると「U」コマンドがどこにも出てきませんね…。

途中から「徹夜について」の話に変わってしまったようです。

私が思い出した体験は、そんな状態で忙しく仕事をしていて、「今日も徹夜か…」というような中で起こりました。

その当時請け負っていた仕事は、翌日が締め切りではありませんでしたが、絶対的な仕事量と残り時間を考えると、前日から徹夜で仕事をしなければ間に合いそうもない感じでした。

なので、ある程度覚悟を決めて仕事に取りかかりました。…そして案の定というべきか、その日もやはり徹夜作業になってしまいました。

当時の私は、それなりに責任のあるポジションにいましたので、仕事に対する責任感から、結構頻繁に徹夜をしていました。

徹夜をすると確かに仕事は進むのですが、やはり人間ですからどうしてもミスが多くなってしまいます。

当時の私はオートキャド(AutoCAD)ではなく、もっと別の(マイナーな)CADを使って図面を作図していました。

今考えるとあまり優れたCADではないと思ってしまうのですが、当時は慣れていたこともあって結構気に入って使っていましたね。

ただ、そのCADの欠点として「UNDO(元に戻す)的な作業が1回分しか出来ない」というものがありました。

結構致命的な欠点なのですが、どういう訳かそれが原因で問題が発生することは全然ありませんでしたので、特に気にすることもなくそのCADを使って仕事をしていた訳です。

■間違いは1回だけ
間違った操作を1回だけしか戻してくれないCADを使って、間違いが発生しやすい「徹夜」での作業をする。

今考えると無謀以外の何物でもないという感じがしますが、当時はあまりそんなことを意識することはありませんでした。

でも、やはりトラブルは起こるべくして起こります。

図面を作図していて作図間違いがあったので、該当するオブジェクトを削除しようとした時に、思わず「全て削除」をしてしまったんですね。

そのCADにはご丁寧に「全て削除」という、あまり使うことのないようなコマンドが用意されていたんです。

そのコマンドを利用して全てのオブジェクトを削除してしまった私は、この時点でもあまり慌ててはいませんでした。

なぜなら「元に戻す」というコマンドが用意されているからです。そのコマンドを使えば「待った、今のなし」ということが言える訳です。

「元に戻す機能が1回分しか使えない」という事実は私も知っていましたので、すぐに「元に戻す」を実行しなければと思いました。

まあ当然の話ですね。

でも、徹夜で疲労した私の頭では、「元に戻す」を実行しなければならないと分かりつつも、それが行動につながりません。

そしてその時私がとった行動は、なぜか「図面を保存」だったんです。

CADは律儀ですから、「図面を保存して」と言われれば、そのままきっちりと図面データを保存してくれます。
図面データを保存してしまってから焦っても意味がないのですが、その時は本当に焦りました。

なにせ何も作図していない状態の図面を保存してしまったのですから…。