前回はダイアログBOXを表示させないでブロック挿入を行う為に、書き出すファイル名を短く簡潔にすることをお勧めしてきました。

でも、お勧めしただけではやや無責任かも知れませんね。

ダイアログBOXを表示させないで操作を行うことで、どれくらい作図手間が少なくなるのかを少しでも知って頂けるように、今回は簡単な例を示したみたいと思います。

■効率の良い作業の例
例えば「-INSERT」コマンドを短縮コマンドの「I」に設定していて、先程のブロックを「S」としてブロック書き出しをしていた場合について考えてみましょう。

手順としては以下のようになります。

①コマンドの開始
これは短縮コマンド「I」+「Enter」で終わります。

②ブロック名の指定
-INSERT ブロック名を入力 または [一覧(?)]:

上記のような表示が出ますが、あらかじめ指定してあるフォルダにブロックを保管しておけば「S」+「Enter」でOKです。

③挿入基点の指定
これはオートキャド(AutoCAD)の画面上をクリックするだけです。このあたりの操作は同じですね。

④尺度の指定
X、Y方向の尺度を指定しますが、1倍であれば「Enter」を2回押すだけで操作は完了です。

⑤角度の指定
角度は0度であればそのまま「Enter」を、指定した角度を入力しても良いですし、オートキャド(AutoCAD)の画面上をクリックしてもOKです。

⑥操作の完了
これでオートキャド(AutoCAD)の図面上にブロックは挿入され、操作は完了します。

いかがでしょうか。単純なキー操作の流れだけを抜粋すると、以下のようになります。
I → Enter → S → Enter → 画面上をクリック → Enter → Enter → 画面上をクリック

「Enter」はマウスの右クリックでも代用が出来ますから、マウスとキーボードを組み合わせて非常にスムーズな操作が実現出来ます。

試しに私がこの作業をしてみると、別に急がなくても5秒くらいで一連の操作が完了しました。

ダイアログBOXを表示させ、ブロック一覧からブロック名を選択…などとやっていては、絶対に5秒では操作を完了させることは出来ません。

オートキャド(AutoCAD)を使って1枚の図面を完成させるまでに、こうした作業を何度も行うことになる訳です。

「ブロック挿入の作業をどちらの操作で行うか」によって発生する差というのは、本当に大きなものになるのではないでしょうか。

オートキャド(AutoCAD)を操作することが出来るという状態と、オートキャド(AutoCAD)を使いこなしているという状態の差とは、こうした細かい部分にあらわれます。

様々な機能を知り、その中から最も効率の良い操作方法を選択していく。
これがオートキャド(AutoCAD)のプロではないかと私は思っていますが、いかがでしょうか。