さて。
前回は、オートキャド(AutoCAD)のコマンドであるMIRRORコマンドに関連するシステム変数として、「MIRRTEXT」を紹介しました。
文字を鏡像化するかどうかを設定するという、「普段はあまり使わないけど知っていないと困ることがある」くらいの微妙な感じの設定です。
でも、もし知らない場合はかなり困ることになりますので、そんな設定もあったな…程度で構いませんので覚えておきましょう。
スペルは調べれば分かりますが、そうした機能があることを知っておかないと話になりませんから。
■オートキャド(AutoCAD)のバージョンによって…
今までは「MIRRTEXT」の設定変更方法を説明してきた訳ですが、少し気が利く方ならばこの設定の存在意義を疑問に思うのではないでしょうか。
初期設定が「文字を鏡像化しない」になっている訳ですから、余程の物好きでない限り、わざわざ設定を変えることはしないでしょう。
それなのに、どうしてこんな設定があるのか…という疑問です。
もちろんそうした疑問には、きちんとした回答を用意しています。まあ、あまり格好の良い理由ではありませんけど。
基本的にこの設定は図面ファイルごとに設定されます。一括の方が便利だという意見は置いておき、ここまでは良いでしょうか。
図面ファイル1枚ごとの設定ですから、いくら自分のオートキャド(AutoCAD)で鏡像表示しない設定にしていても、残念ながらあまり意味がない場合も出てきます。
要は、相手から送られてきたデータの「MIRRTEXT」設定が「1」になっている、ということです。これは意外に結構あるんですよね。
なぜわざわざそんな設定に?と思っていまいますが、確か古いバージョンのオートキャド(AutoCAD)は初期設定が「1」に設定されているんです。
その証拠に、下図をみてください。これはLT2000iのヘルプですが、初期設定が「1」になっています。
初期設定が「文字を鏡像表示する」って…。オートキャド(AutoCAD)もお茶目なことをするもんです。
今度は下図を見てみましょう。これはLT2005のヘルプです。
ご覧のように、初期設定が「0」に変わっています。さすがに初期設定「1」はナイでしょ…と言うことが、オートキャド(AutoCAD)にもやっと分かったみたいですね。
ですから、古いバージョンのオートキャド(AutoCAD)で作図した図面などでは、有無を言わさず「MIRRTEXT」の設定が「1」になっている場合がある、ということです。
そうした図面を目の前にしたときに、今回お話ししたシステム変数を思い出して頂ければ、さらっとトラブルを解決することが出来ますね。
お世辞にもオートキャド(AutoCAD)の便利な機能とは言えませんが、例えコンピュータでも完璧な存在ではありません。
足りないところは作図者である我々がフォローしていき、スムーズにオートキャド(AutoCAD)を使っていきたいものですね。