前回はオートキャド(AutoCAD)のブロックという機能を使う際に、短くて簡単なブロック名を使うことのデメリットについてお話しをしました。

短い名前だけに、頭の中で管理していくのが結構難しい部分がありますから、数を絞って管理していくのもひとつの手ではないかと思います。

また、ファイル名が短いということで、オートキャド(AutoCAD)の作図にもうひとつ支障が出てくる場合があります。

便利に機能を使う為には、その欠点も知っておく必要がありますから、今回はそのあたりの話をしていきます。

■ブロック名が重なると
オートキャド(AutoCAD)の作図スピードを高める為に、挿入するブロック名を簡単にしていくと、管理しきれなくなってしまう恐れがある訳ですが、それ以上に気を付けたい問題があります。

それは、オートキャド(AutoCAD)で作図した他の図面と、使用したブロック名が重なってしまう恐れがある、という問題です。

これは結構ありがちなことですから、充分な注意が必要です。
ブロック名というのは基本的に、オートキャド(AutoCAD)の図面1枚ごとに登録されています。

WBLOCK(ブロック書き出し)コマンドを使用して、ファイルとして書き出すことは出来ますが、基本的には図面ごとにブロック名が管理されることになります。

ですから、その図面を1枚1枚管理してい限り、ブロック名の重なりという問題は出てきません。

ですが、他の図面データから気軽に図形をコピーすることが出来るのも、オートキャド(AutoCAD)の便利なところでもあるんです。

その為にCOPYBASE(基点コピー)が存在していて、非常に便利なコマンドとして活用ができる訳です。

そして、その機能を利用して、他の図面で作図したオブジェクトをコピーしてきた時に、ブロック名が重なるという問題が発生するんですね。

コピー元の図面で登録されていたブロック名は、コピー先の図面で同じ名前のブロック名があった場合、自動的にコピー先のブロックに書き換えられてしまうんです。

今ひとつピンと来ないかも知れませんが、これは非常に重要なポイントです。

例えば、2枚の図面で同じブロック名「S」を使用していて、それぞれ ▼ と ● という形で登録していた場合について考えてみます。

図面Aのブロック「S」は ▼
図面Bのブロック「S」は ●

といった具合です。

こうした状態で、図面A内のオブジェクトを基点コピーで図面Bにコピーした場合、コピーされてきた ▼ の形は全て ● に置き換えられてしまいます。

コピーしてきたオブジェクトが何の予告もなく変わってしまうのは、言うまでもないことですが非常に困ることです。

そうした状態になってしまわないように、ファイルとして書き出したブロック名にはきちんとしたルールが必要になってきます。

ちょっと分かりにくいかも知れませんので、次回は実際の例を出して、ブロック名の重なりについてもう少しお話ししていきたいと思います。