前回は、ダイアログBOXを表示させないでブロック挿入をすることが、どれだけ効率的なのかについてお話しをしました。

実際の操作手順についても書きましたので、手間の少なさもある程度は伝わったのではないかと思います。
ダイアログBOXを表示させないで作業をすることのメリットが、少しでも分かって頂ければ嬉しいです。

ただ、この手順は基本的に「分かりやすい手順を省略しつつ効率を良くしていく」という考え方ですから、欠点がない訳ではありません。

という訳で、今回はダイアログBOXを表示しないでブロック挿入を行うことのデメリットについて考えていきたいと思います。

■当然出てくる欠点とは
ダイアログBOXを表示させないことによって、オートキャド(AutoCAD)のコマンドを実行する為の手間を省略する。

これが今までお勧めしてきた方法ですが、その欠点はもう既に何度もお話しをしています。
要するに「分かりにくくなってしまう」という点が、この方法の最大の欠点と言えるでしょう。

階段の省略記号についても、「省略記号」というブロック名ではなくて「S」などの簡潔なブロック名に設定することを推奨してきた訳ですが、どちらが分かりやすいかは聞くまでもありませんよね。

「S」を省略記号のブロックに設定していることなど、他の作図者に分かるはずもありません。

ですから、そうしたブロックをスムーズに挿入出来るのは、ブロック名を設定した自分だけになってしまうんですね。

「でも、自分だけブロック名が分かっていれば充分じゃないの?」と思われる方もいるのではないでしょうか。

確かに自分がブロック名を把握している限り、そのブロックを挿入する手間が省略されることに間違いはありません。

つまり、それで既に目的を達しているので、あえてそれ以上の気遣いをしなくても良いのではないか、という意見もある訳です。

これは確かに正論です。
これを書いている私自身も、当然そのように思う部分がありますし、それを否定するつもりもありませんから。

■頭の中で行う整理
ただし…です。

ただし、短くて入力しやすいブロック名をどうやって管理していくのか、という問題が出てきます。

「S」などの簡潔なブロック名も、5個くらいであれば問題なく管理出来ると思いますが、それ以上になってくるとどうでしょうか。

例えば全てのアルファベットそれぞれに、よく使うブロックを割り当てたとします。
そうすると単純に、26個のブロックを頭の中で管理していく必要が出てくる訳です。

こうした手間というか苦労が、簡潔なブロック名を使うことの最大のデメリットでしょう。
もちろん「ブロック一覧表」などを作成して管理をするという手もあります。

でも、ダイアログBOXを表示させないでスムーズに操作をしようというのに、わざわざ一覧表を見ているのではあまり意味がありませんよね。

操作を簡単にする為に、かえって手間が増える。そういう状態を「本末転倒」と言うのです。

頭の中で覚えきれないのなら、「省略記号」などの分かりやすいブロック名にしておいて、ダイアログBOXを表示させて選べば良いでしょう。

私としてはこうした短いブロック名をお勧めしている訳ですが、そういったブロックは、頭の中で整理出来るくらいの数にとどめておくことも合わせてお勧めしておきます。

せっかくオートキャド(AutoCAD)を使って効率のよい作業を行うのですから、出来るだけ上手に使っていきたいものです。