■概要
このシステム変数は、オートキャド(AutoCAD)で図面を作図する際に、ハッチングを構成するオブジェクトの上限数を制限します。

BHATCH(ハッチング)コマンドは、一定のパターンで配置されたオブジェクトを、指定した範囲に自動作図するコマンドです。

非常に便利なコマンドではありますが、この「自動作図」というのは意外に危険な面もあるんです。

非常に細かいパターンのハッチングをする設定にすると、ハッチングを構成するオブジェクトはとんでもない数になってしまいます。

極端な話をすると、右45度の斜線のハッチングで、線と線の間隔が0.0001mmというハッチングの設定も出来る訳です。

オートキャド(AutoCAD)は非常に優秀な頭脳を持っていますが、頭が硬いというか融通がきかない部分を持っています。コンピュータですから当たり前ですが…。

ですから、細かすぎるハッチングの設定をしても「いくら何でもそれはないでしょ」とは言わず、真面目に処理をしようとしてくれます。

処理をしてくれるのは嬉しいのですが、あまりにも細かく線を引いていくのは、オートキャド(AutoCAD)に大きな負担をかけることになりますので、どこかで制限をかける必要がある訳です。

その制限が、今回お話しする「MaxHatch」なんですね。

■操作の手順
①環境変数設定の入力
この設定は、どういう訳か単独で実行することが出来ません。まずはSETENV(環境変数設定)を実行する必要があります。

と言っても、コマンドラインに「SETENV」と入力して「Enter」を押すだけで済みます。

②変数名の入力
変数名を入力:
「SETENV」と入力して「Enter」を押すと、上記のような表示が出ます。

少々面倒ですが、ここで改めて「MaxHatch」と入力して「Enter」を押します。最初の「SETENV」が不要な気がするのは私だけでしょうか…。

ちなみにこの変数、なぜか大文字と小文字の区分もきっちりと判断してきます。2重3重に面倒な設定です。

「MAXHATCH」と入力すると、数値を入力する表示が出ますが、何の設定も変わりませんので注意しましょう。

③MaxHatchの数値を入力
値 <10000>:

正しく変数名を入力すると、上記のような表示が出ます。現在の値は10000ですから、1回のハッチングでオブジェクトの数10000が上限値ということになります。

もっと数の多いハッチングをしたい場合など、こうした制限があることを知りながらあえて設定を変更したい際には、ここで新たな数値を入力して「Enter」を押しましょう。

この変数の上限値は10000000です。0が多すぎて分かりにくいのですが、1千万です。ハッチングの上限としては充分すぎるでしょう。

④設定の完了
これで設定は完了です。やや(というか非常に)不便な面があるとは思いますが、どうしてもハッチングが出来ない場合には、この設定を変更することによって問題が解決することも多いはずです。

ちなみにこれは余談ですが、私が昔作図した図面では、ハッチングを細かく入力しすぎたのが原因で、印刷にかかる時間が驚く程長くなったことがあります。

印刷の設定をして「OK」を押してから、プロッタが動き出すまで10分以上かかっていましたので、急いで印刷する際にはイライラするハメになりました。

仕事をしていると10分は結構短いのですが、「まだか…」と思いながらプロッタを眺めていると非常に長く感じます。

こうした状態にならない為にも、あまりMaxHatchの上限は変更しない方が良いと思います。

■関連コマンド
この設定に関連するのは、BHATCH(ハッチング)HATCH(ハッチング)の両コマンドでしょう。

これらのコマンドを実行した際に、ハッチングの間隔が狭すぎます、またはダッシュ サイズが小さすぎますという表示が出たら、ハッチングを構成するオブジェクトの数が多すぎると言うことになります。

そうした場合には、もう少し細かい範囲でハッチングをかけていくか、あるいはこの設定を変更するかのどちらかになります。

MaxHatchの設定を変更するだけが解決策ではない、ということも合わせて覚えておくことをお勧めします。